キャッシュ・フロー・サイクルを見分ける

導入期、成長期、成熟期、変革期、臨界期のどこにいるか

キャッシュ・フロー・サイクルとはIncbirdのサイトでの造語ですが、理論自体は、2011年、ミシシッピ大学のディキンソン博士の「キャッシュフロー(CF)のパターンによる企業のライフサイクル」という論文を基にしています。

営業CF(営業キャッシュ・フロー)、投資CF、財務CFの三つのキャッシュ・フローの「+」「-」の組み合わせのパターンで、会社のライフサイクルを分類する手法です。

創業から衰退に至るライフサイクルを5段階に分けて分類されています。

分かりやすくアレンジ

会社がライフサイクルのどの段階にいるかの見分けは、バードを観察することで可能なことが研究の結果分かりました。

Incbirdの観察でより分かりやすくなるよう、「キャッシュ・フロー・サイクル」と呼び、各ライフサイクルの段階を以下のように定めました。

❶導入期(創業期)

いわゆる、ベンチャー企業とも呼ばれる「創業期」の会社が該当します。ただ既存企業でも、事業の大きなパラダイムシフトで、創業期と同じパターンを示すケースもあることから、新しい事業の「導入期」に当たる時期として命名しました。

導入(創業)期のバード事例

投資CF

投資にお金を使っている

営業CF

本業でお金を減らしている

財務CF

資金調達してお金を増やしている

❷成長期

導入期(創業期)では、事業でお金をかせぐより、すばやい成長などが優先される。事業が波に乗ってきた段階が「成長期」に当たる。ここでも、急速な成長を目指すため、事業拡大のための投資に必要な資金を調達するので、財務CFはプラスになる。

成長期のバード事例

投資CF

投資にお金を使っている

営業CF

本業でお金を増やしている

財務CF

資金調達してお金を増やしている

❸成熟期

成熟期に差し掛かると、新たな投資は、自己資本でまかなう傾向が強くなる。事業でのかせぎも大きく、利益剰余金が拡大すれば、成長期に行った借入金を返済する傾向になる。この状態を「成熟期」と呼ぶ。

成熟期のバード事例

投資CF

投資にお金を使っている

営業CF

本業でお金を増やしている

財務CF

返済してお金を減らしている

❹変革期

事業環境や、競争の中で成熟期から次の段階に移行する会社も現れる。経営がこの後どのような施策を行うかによって、再び成熟期や成長期に、戻ったり、次の臨界期に移行するなど変化の時期に当たるので「変革期」と呼ぶ。CFのパターンは3種類。

変革期のバード事例1

投資CF

投資にお金を使っている

営業CF

本業でお金を減らしている

財務CF

返済してお金を減らしている



変革期のバード事例2

投資CF

資産を売ってお金を増やしている

営業CF

本業でお金を増やしている

財務CF

資金調達してお金を増やしている



変革期のバード事例3

投資CF

資産を売ってお金を増やしている

営業CF

本業でお金を増やしている

財務CF

返済してお金を減らしている

❺臨界期

元の理論では、衰退期と呼ばれる状態。事業でお金を増やすことが困難な経営状態で、新しい投資ができずにいる会社を指す。既存事業が臨界点に達し、変革がなければ、衰退する状態と解釈した。ただし、コロナなどの不測の事態を原因とし、再生を果たす企業もあることから、事業がある種の臨界に達した時期として「臨界期」と呼ぶこととした。CFのパターンは2種類。

臨界期のバード事例1

投資CF

資産を売ってお金を増やしている

営業CF

本業でお金を減らしている

財務CF

資金調達してお金を増やしている



臨界期のバード事例2

投資CF

資産を売ってお金を増やしている

営業CF

本業でお金を減らしている

財務CF

返済してお金を減らしている

まとめ

ディキンソン博士の「キャッシュフロー(CF)のパターンによる企業のライフサイクル」を基とするCFパターンによる分類と見分けは、Incbirdを観察する際の、大きな武器となります。

ただし、分類は、その時期の傾向を示しているものにすぎず、絶対的な基準ではありません。

会社の評価や、株価の推測にも活用できますが、あらゆるデータを確認し、ご自身で投資の判断を行うようにしてください。


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